「大人なのにまだぬいぐるみと寝てるの?」
ベッドの端に置いてあるスヌーピーのぬいぐるみを見て甥っ子が言った。
『そうだよ。』
私は誤魔化すことなく答える。
「なんでこれ置いてるの?」
スヌーピーのぬいぐるみを指して甥っ子が言う。
『だってスヌーピー好きだから。』
私はまた素直に答える。
甥っ子は少しバカにするような、恥ずかしい事だと云うような口調で私に言ったが
私は何も恥ずかしがる事はしていない。と言わんばかりに平然と答えたのだ。
何故そうしたのかと言えば
大きな流れの中で、周りに流されたまま、型にはまって欲しくなかったからだ。
男の子なのにぬいぐるみが好き🟰恥ずかしい、子供みたい
とか
女の子なのにロボットが好き🟰おかしい
とか
そんなくだらないことを平気で思って
人の"好き"を馬鹿にして悦に浸るような人間にはなって欲しくはなかったし、
自分が好きな物は好きでいいと、そう感じて欲しかった。
自分が何を好きであれ
それを恥じる事が何処にあろうか。
他人が何を好きであれ
それを馬鹿にしていい理由がどこにあろうか。
自分が好きな物をひた隠しにして
周りに合わせてバカにする事の方が私は生きずらかったし、
好きな物だけでなく、家庭や生活環境での違いなどで
平気でそういう事をしてた子に"別に馬鹿にすることでも、恥ずかしい事でもないぞ?"って態度を取って生きてきた人間なので
そこで誤魔化すのは自分で自分が許せなかったのだ。
甥っ子がそれに気付くか気付かないかは
私には分からない。でもこれから先もそういう接し方をするし、こういう人間も居るんだといつか感じてくれたら良いな。なんて思ったりする。